相談事例

島田の方より遺産相続についてのご相談

2018年10月03日

Q:自分の相続分を姉だけに譲ることはできますか?(島田)

先日父が亡くなりました。父は5年前から生活するのに介護が必要でしたが、施設に入ることを嫌がっていたので私の姉が夫婦で父の介護をしながら同居していました。私と弟は離れた場所に住んでいることもあり、ほとんど介護を手伝うことはできませんでした。このような事情ゆえに私は父の遺産は姉が多く相続するべきだと思っています。

しかし、弟はできるだけ多く相続したいと言っていて姉の相続分を増やすことを了承してくれません。姉には少しでも多く相続してもらいたいです。私の相続分を姉だけに譲ることはできるのでしょうか? 母はすでに他界しているので相続人は私たち姉弟の3人のみです。(島田)

 

A:ご自身の相続分を譲渡することができます

お姉さまにお父様の遺産を全て相続してもらうには、ご相談者様と弟様が二人とも相続放棄をすればいいのですが、おそらく弟様は納得しないでしょう。兄弟として同じ相続人の立場でも考え方が全く違うことも相続の現場では珍しい話ではありません。もし、ご相談者様だけが相続放棄をすれば、遺産はお姉さまと弟様の二人で2等分割することになりますので、弟様の取得分も増やすことになります。

それでは他にどのような方法があるのでしょうか。このような場合によく用いられる手段の一つが「相続分の譲渡」です。相続人が遺産分割の前に自分の相続分を他の相続人に譲渡することです。相続人以外への譲渡も可能ですが、遺産分割協議の複雑化、長期化を避けるために相続人以外への譲渡はあまり一般的ではありません。

今回のケースの場合、相続分の譲渡をすればお姉さまの相続分はご自身の1/3とご相談者様の相続分1/3を合わせた2/3となります。弟様にご相談者様の相続分が流れてしまうことはありません。相続分を全て譲渡した人は相続人としての地位も無くなりますので遺産分割協議での発言権も失うことになります。一部譲渡も可能ですので、ご自身の納得できる相続分をお姉さまに譲渡することもできます。

相続放棄と違い、借金などの相続債務は譲渡後も残りますから返済等については事前にお話合いになったほうがよいでしょう。

 

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