2018年11月01日
Q:自筆の遺言書が新たに見つかったらそちらを優先すべきですか?(島田)
島田の実家の父が亡くなり、生前に父が残した公正証書遺言に従って不動産の名義変更等を始めようとしていましたところ、金庫の中から父自筆の遺言書が見つかりました。作成された日付は自筆の遺言書の方が新しいので、おそらく、父が公正証書遺言を作成したあとに思うところがあって、書き直したのかと思われます。私は父の最終的な遺志、つまり自筆の遺言書にしたがって遺産を分けるべきだと兄弟に伝えたのですが、その自筆遺言書の内容が気にいらなかった弟から反対にあっています。公正証書遺言に従って手続きを始めようとしていたので自筆証書遺言に従う必要はないというのが弟の主張です。確かに、公正証書遺言は公証人という専門家によって作成されて公証役場に保管されていたものなので、自筆の遺言書よりも優先されるようにも思えます。このような場合は、どちらが正しいのでしょうか?(島田)
A:公正証書遺言、自筆証書遺言に関わらず作成日が新しいものが優先です
確かに公正証書遺言は公証人という専門家が作成したもので、作成後も原本は公証役場に保管されるという点もあり、なんとなく自筆証書遺言よりも効力が強いように感じられるかもしれませんが、ご相談のケースのような場合、公正証書遺言か自筆証書遺言かに関わらず作成日の日付が最新で正しく作成されているものが優先されます。
つまり今回の場合、自筆証書遺言の方が効力を持つ遺言書となりそうです。
ちなみに、遺言書の存在を知らずに相続人間で話し合って遺産分割協議書を作成したあとに遺言書が見つかった場合も、遺言書の内容が優先されるので遺言書の内容と反する部分については原則として遺産分割協議はやり直しになります。遺産相続において、亡くなられた方の遺志を示す遺言書の効力はとても強力なのです。(ただし、関係者全員が同意する場合はその遺産分割協議を優先することも可能です。)
相続人間での不必要なトラブルをさけるためにも、相続の問題でわからないことや不安に感じることがあれば専門家への相談をおすすめいたします。
静岡相続遺言相談プラザでは相続に精通した司法書士・行政書士が自信を持って相続手続きのお手伝いをしています。お困り事があれば初回無料相談でお話をお聞かせください。
2018年10月03日
Q:身寄りのない知人の葬儀代を遺産から払ってもらえるのでしょうか?(焼津)
先日、職場の同僚が亡くなりました。その同僚は配偶者も親兄弟もいない、いわゆる身寄りのない方でしたので、私が代表となって同僚の有志で協力し合いささやかながら葬儀を執り行いました。葬儀代が想定以上にかかってしまい、できることなら亡くなった方の遺産から払ってもらいたいのですが、誰に相談すればいいのかわかりません。 身寄りがない方が亡くなった場合は遺産はどうなるのでしょうか。その財産から葬儀代を支払ってもらうことはできるのでしょうか?(焼津)
A:葬儀代を遺産から払ってもらうよう相続財産管理人に請求しましょう
身寄りがない方がなくなった場合、相続人がおらず相続財産は宙に浮いた状態になってしまいます。相続人が誰もいない場合を、法律の用語で「相続人不存在」といいます。相続人不存在の相続財産は相続財産法人というひとつのまとまりで管理され、今回のような精算事務を行うために、相続財産管理人が選任されます。自動的に選任されるわけではなく、利害関係人または検察官が家庭裁判所に申し立てる必要があります。 相続財産管理人の選任の申立てができる利害関係人とは、被相続人にお金を貸した人(債権者)、特定遺贈を受けた者、特別縁故者などです。相続財産管理人は、通常、司法書士や弁護士が選任されます。こうして選任された相続財産管理人が、相続財産の清算手続きを行っていくことになります。
残った財産がある場合は最終的に国のものになります。
ご相談者様が立て替えた葬儀費用は、社会的に相当と考えられる葬儀費用については相続財産から支払われるべきと考えられていますので、家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申立て請求することができます。その際に予納金が発生することがありますので注意しましょう。
静岡相続遺言相談プラザでは相続に精通した司法書士・行政書士が自信を持って相続手続きのお手伝いをしています。相続についてわからないこと、ご不安な点があれば、当プラザの無料相談でお話をお聞かせください。
2018年10月03日
Q:自分の相続分を姉だけに譲ることはできますか?(島田)
先日父が亡くなりました。父は5年前から生活するのに介護が必要でしたが、施設に入ることを嫌がっていたので私の姉が夫婦で父の介護をしながら同居していました。私と弟は離れた場所に住んでいることもあり、ほとんど介護を手伝うことはできませんでした。このような事情ゆえに私は父の遺産は姉が多く相続するべきだと思っています。
しかし、弟はできるだけ多く相続したいと言っていて姉の相続分を増やすことを了承してくれません。姉には少しでも多く相続してもらいたいです。私の相続分を姉だけに譲ることはできるのでしょうか? 母はすでに他界しているので相続人は私たち姉弟の3人のみです。(島田)
A:ご自身の相続分を譲渡することができます
お姉さまにお父様の遺産を全て相続してもらうには、ご相談者様と弟様が二人とも相続放棄をすればいいのですが、おそらく弟様は納得しないでしょう。兄弟として同じ相続人の立場でも考え方が全く違うことも相続の現場では珍しい話ではありません。もし、ご相談者様だけが相続放棄をすれば、遺産はお姉さまと弟様の二人で2等分割することになりますので、弟様の取得分も増やすことになります。
それでは他にどのような方法があるのでしょうか。このような場合によく用いられる手段の一つが「相続分の譲渡」です。相続人が遺産分割の前に自分の相続分を他の相続人に譲渡することです。相続人以外への譲渡も可能ですが、遺産分割協議の複雑化、長期化を避けるために相続人以外への譲渡はあまり一般的ではありません。
今回のケースの場合、相続分の譲渡をすればお姉さまの相続分はご自身の1/3とご相談者様の相続分1/3を合わせた2/3となります。弟様にご相談者様の相続分が流れてしまうことはありません。相続分を全て譲渡した人は相続人としての地位も無くなりますので遺産分割協議での発言権も失うことになります。一部譲渡も可能ですので、ご自身の納得できる相続分をお姉さまに譲渡することもできます。
相続放棄と違い、借金などの相続債務は譲渡後も残りますから返済等については事前にお話合いになったほうがよいでしょう。
静岡相続遺言相談プラザでは、相続手続きの経験豊富な専門家がご相談にお答えしています。初回のご相談は完全無料でお受けしておりますのでお気軽にご連絡ください。
36 / 49«...102030...3435363738...»