2019年10月11日
Q:私は献身的に母の介護をしていました。多く相続できるような待遇はありませんか。(藤枝)
夫婦で長年藤枝に住んでいる60代の主婦です。先日同居する母が病気で亡くなりました。以前母は同じく藤枝で一人暮らしをしていましたが、十数年前から認知症の症状が現れ、だんだん一人で生活をすることが困難になってきましたので、私たち夫婦の家で一緒に住むことにしました。母は認知症が軽いころからデイサービスを嫌がって行かなかったので、認知症が進んでからも私は母の気持ちを尊重することにし、デイサービスを使いませんでした。そのため私は介護の為に仕事を辞め、母の介護に専念する生活を送ってきました。
いよいよ母が亡くなり、葬儀の場で兄弟間で相続の話になった時、兄弟たちは当然のように母の財産を法定相続分通り兄弟妹で等分に相続しようと話していました。
私は母の介護のために仕事も辞め、自分の時間などほとんどない生活を続け、夜も気が休まらない介護を続けてきたのに、なんの協力もなかった兄弟たちと法定相続分通りの相続しかできないのでしょうか? 腑に落ちない気がします。(藤枝)
A:被相続人のために尽くした相続人には“寄与分”という相続分が認められることがあります。
長期にわたって被相続人の介護をしたり、家業を無給やそれに近い状態で手伝ったりしてきた相続人には、法定相続分で遺産分割をすると不公平が生じることがあります。この公平性を保つ手段として「寄与分」という制度があります。寄与分の適正額は相続人全員が話し合って決めます。ご相談者様は、被相続人の介護を通じて被相続人の財産の減少を防いだと考えることができるのです。もしご相談者様が介護をしていなかった場合、認知症であった被相続人は介護をしてもらえる施設に入所する必要があり、そこで生活することになったと思われます。そのための費用は莫大であった可能性があり、ご相談者様はその費用分を節約したことになるのです。このように、お母様の療養介護等によって被相続人の財産の減少を防いだり、財産の増加に特別の寄与をした相続人にご相談者様があたれば、相続分に寄与分を加えた額を相続分とすることが認められると考えられます。
寄与分は相続人全員の遺産分割協議によって決定されるのが原則とされていますが、寄与分が発生すると、他の相続人の相続分が減るためトラブルになることも少なくありません。もし相続人全員の遺産分割協議が成立しない場合は、家庭裁判所に申し立てることができます。ただし「特別の寄与」をしたと認められるかどうかについて事前に専門家に相談し申立てをした方が安心です。
また、被相続人の介護をされる際は、介護にかかった費用が明確に分かるように領収書などをきちんと取っておくことをお勧めいたします。
不満や不信感がある遺産分割は兄弟間のトラブルを起こしかねません。きちんと納得して相続手続きを進めるためにも専門家に相談することは大変有効です。
静岡相続遺言相談プラザでは、相続の専門家である所員一同で藤枝のみなさまの相続のお手伝いをさせて頂きます。藤枝近隣にお住まいの方で相続に関するお困り事がございましたら、まずは当プラザの無料相談をご利用下さい。藤枝の皆さまからのお問い合わせ、ご来所を心よりお待ちしております。
2019年07月17日
Q:被相続人の死亡保険金は遺産分割の対象になりますか?(焼津)
実家の焼津に母と2人で暮らしていましたが、この度母が亡くなりました。
相続人は私と兄の2人です。兄は実家を出て、同じ焼津市内に家庭を持っています。
母の生命保険金の受取人は私ですが、兄が、生命保険金も相続財産として遺産分割しなければ不公平だと言っています。(焼津)
A:生命保険金は、基本的に相続の対象となりません。
生命保険金は、受取人自身の財産です。
相続は、被相続人(この場合お母様)の財産を相続人で分けるものですから、生命保険金は相続の対象とはなりません。
ただし、ご相談者様が生命保険金を受け取ったことによって、お兄様が相続する金額と著しく差が生じ不公平が大きい場合、「特別受益」として扱われることがあります。
特定の相続人が被相続人から生計の資本等のために生前に贈与を受けていたり、遺贈を受けた場合、他の相続人が取得する遺産の額と著しく差が出てしまうことがあり、このような不公平をなくすために、民法では、このような生前の贈与や遺贈の額は「特別受益」と呼ばれ、相続の時に遺産として計算します。
しかし、被相続人がこのような生前贈与と遺贈を特別受益として遺産に加えない旨の意思表示をしている場合は、遺産として計算しなくてもよいこととされています。
なお、この特別受益については、2019年7月から施行された相続法の改正により、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用の不動産について生前の贈与や遺贈がされたときは、被相続人はこれらを特別受益として遺産に加えない旨の意思表示をしたものと推定するとされました。
また、前述の通り、生命保険金は被相続人の財産にはなりませんが、「被相続人が死亡したことによって」取得するものであるため、被相続人が保険料を負担していた生命保険金については、税法上、「みなし相続財産」として、相続税の課税対象になります(一定の非課税枠があります)。
このように、相続における生命保険金は遺産分割の必要こそないものの、受け取る額や遺産の総額等の状況によって特別受益や相続税が絡んでくるため、判断が難しい部分があります。
静岡相続遺言相談プラザは、焼津からもアクセスしやすい島田市に事務所を構えておりますので、一度無料相談にお越しいただき、詳しいご状況やお客様のご希望をお話いただければより適切なアドバイスをさせて頂けると思います。
是非、お気軽にご相談下さい。ご予約をお待ちしております。
2019年01月09日
Q:遺産分割協議がまとまらない。期限はあるのでしょうか?(藤枝)
この度私たち相続人の兄弟である兄が亡くなりました。兄は長男だったので、私たちが子供の時から生活していた藤枝の実家を相続していました。兄は生涯独身だったため、私と弟と妹の3人が相続人になりました。相続財産は藤枝の実家(土地・家屋あわせて2000万円程度)と、現金500万円です。弟は早く家を処分して、現金を受け取りたいようなのですが、私と妹は兄が亡くなって早々に実家でもある藤枝の家を売却しても良いか悩んでいます。もう少し考えたい思いますが、そもそも遺産分割協議や不動産の相続登記に期限はあるのでしょうか。(藤枝)
A:遺産分割協議や不動産の相続登記には期限はありません
お兄様が亡くなり、ご兄弟で遺産分割協議を行わなければならないのは大変かと思います。まずご質問いただいた期限に関しては、遺産分割協議も相続登記に関しても期限は定められていません。しかしながら、長引かせることも専門家の視点からするとおすすめできません。以下の点で問題が生じる危険性があります。
まず相続人が将来的に増えてしまうことです。もしもご兄弟のうち誰かがお亡くなりになってしまうと、その人の相続人がお兄様の相続に関しても関係してくるからです。例えばご相談者様にご主人様とお子様がいる場合、ご相談者様に万が一の事があると、ご主人様とお子様がお兄様の土地と現金の件で弟様、妹様と話し合わなければいけなくなります。特に不動産は何代にもわたって相続登記を行わなかった結果、相続人が20名~30名近くになり遺産分割協議を行うことすら困難なケースもあります。また相続人に借金を抱え、返済が滞っている人がいたりすると、親族でもない第3者が法定相続分を差し押さえることもあります。そのようにならない為にも自分達の代で解決することは必須です。また時間が経つと登記に必要な資料が保存期間を過ぎてしまい取り寄せられなくなり、より一層手間がかかってしまいます。
お気持ちの整理もあるかと思いますが、焦らずとも期限はある程度決めてご兄弟でお話合いなさってください。なお、相続税申告や相続放棄には期限がありますので対象の方は注意してください。
静岡相続遺言相談プラザでは藤枝地域の方々の相続に関するお悩みをサポートしています。ご心配なことがございましたら、無料相談をぜひご利用ください。