不動産名義変更の流れ

相続による不動産の名義変更の流れについてご紹介します。

相続が発生したら、亡くなったか方名義の不動産を相続人の名義に変更する必要があります。相続を理由とした不動産の名義変更の場合、相続人全員での遺産分割協議がまとまり、遺産分割協議書が完成している事が前提となります。相続発生後、不動産の名義を変更せずにいたために、その後の手続きが複雑になってしまったり、相続トラブルが発生してしまう事もあります。相続での不動産の名義変更は、速やかに行うことが大事です。

※民法により、不動産は事項取得が可能とされています。相続した土地や家屋が一定期間他人に占有をされていた場合、その他人の意思と関係なく他人の財産となる手続きを進められる事ができてしまうのです。また、他人が占有している状況を止めてもらうためにも、法的な手続きをとる必要があり、自分の土地であるにもかかわらず逆に訴えられてしまうケースがあるのです。法律には、「権利の上に眠るのは保護に値せず」という言葉があります。自分のモノは自分のものとして、速やかに名義変更の手続きをする事をお勧めします。

不動産の名義変更の流れ

不動産の名義変更の大まかな流れは以下ようになります

１）相続人の確定
…被相続人（亡くなった方）の戸籍謄本を出生から死亡まで一連の戸籍を収集し、相続人が誰であるかを特定します。
…一連の戸籍の中に、抜けている戸籍があると法務局で受付てもらえません。改製原戸籍等も全て取り寄せて読む必要があります。
２）相続財産調査
…相続の対象となっている不動産を特定します。私道が含まれていたし、複雑に分筆されていたり場合には注意が必要です。
…よくある相談に、自分たちだけで手続きを進めてしまった為に、対象となる全ての不動産の相続が出来ていないケースというのもよく耳にします。
３）遺産分割協議書
…法的に有効な内容の遺産分割協議書でなければ、法務局からの補正が入り書き直しが必要になったり、再度相続人に訂正印を求めたりと手間がかかりますので、きちんとした有効な内容の遺産分割協議書を作る必要があります。
４）不動産の登記申請
…登記申請に必要な書類をすべて揃えて、不動産の所在地を管轄する法務局に申請します。
…自分で申請をする場合は、法務局の窓口で相談しながら申請書を作成する事もできます。
…司法書士が申請する場合、オンラインでの申請が出来ますので手続きはスムーズです。
５）登記識別情報（権利証）を受け取る
…登記が完了するのは申請から１～２週間ほどです。法務局に行き、自分の名義となった旨の登記識別情報を受け取りに行きます。
…自分で申請した場合、権利証が一枚発行されるのみです。
…司法書士に依頼した場合は、法務局に行く必要はありません。司法書士が権利証とその他の資料を製本し内容を説明してお渡しします。

手続きの詳細

登記申請に必要な書類は、遺産分割の協議がどのような内容で行われたかによって異なってまいります。

法定相続人が一人の場合、または法定相続分で相続をする場合

１）被相続人の出生～死亡までの一連の戸籍謄本

２）法定相続人全員の現在の戸籍謄本

３）法定相続人全員の住民票

４）相続する不動産の固定資産税評価証明書（市区町村で取得できます。東京２３区の不動産は都税事務所で発行）

遺産分割協議で決めた割合で相続をする場合

1)被相続人の出生～死亡までの一連の戸籍謄本

２）法定相続人全員の現在の戸籍謄本

３）法定相続人全員の住民票

４）相続する不動産の固定資産税評価証明書（市区町村で取得できます。東京２３区の不動産は都税事務所で発行）

５）法定相続人全員の印鑑登録証明書（遺産分割協議書作成後３ヶ月以内のもの）

６）遺産分割協議書

申請書の作成

登記の申請は、登記申請書と必要書類すべてを揃えて相続する不動産の所在地を管轄する法務局（登記所）に提出します。提出した書類に不備がなければ１、２週間で登記は完了し、不動産の名義変更が完了します。登記の申請には税金（登録免許税）の納付が必要になります。必要となる税金は、固定資産税評価証明書に記載の不動産価格に１０００分の４を乗じた価格となります。

※評価額が２０００万円の不動産であれば、４／１０００ですので、８万円が登録免許税となります。